地球環境問題とは人間の地球での居住環境に問題が生じることに対する警笛としての側面が強いと思っています。
海洋プラスチック汚染がメディアに取り上げられるとき、映像で見て分かる痛ましい姿がインパクトになるので、まずは誤飲した生物たちの写真が流れます。分解されないプラスチックは消化管に詰まったままになり、苦しませ続けると。
ただ逆に言うと、プラスチックは分解されない安定性を有しているので、溶出汚染して身体に取り込まれないとも言えます。
じゃあ、何が人間には問題なの?
自動車が動物をひき殺す数とプラスチックゴミが動物を殺す数はどちらが多いの?
人間以外の生物に対して人間が果たすべき役割と責任については古くは聖書から始まりますし、ここでは述べません。
結局のところ、人間に少なからず影響があるから問題になっています。
プラスチックが紫外線分解されるなどしてマイクロ化され海洋に漂うと有害物質を取り込んでいきます。このマイクロプラスチックを知らない間に摂取し、濃縮された有害物質も一緒に身体に取り込んでしまうリスクが問題となります。
また、前提を崩す事にもありますが、プラスチックが純度100%のプラスチックであることは少なく、添加剤が入っています。強度を高めたり、燃えにくくしたり、色を付けたりします。この添加剤は摂取して大丈夫か、といった問題もあるでしょう。勿論、プラスチック製品は溶出検査をクリアしていますが、通常の使用条件と環境は違うので分かりません。
そこで、生分解性プラスチック(バイオマスプラスチック)なら分解されて大丈夫じゃないか、との声が出ています。但し、簡単に水に溶けるようでは、代替品にならないでしょう。実際は、分解されると言っても、コンポストで残飯のような有機廃棄物と発酵させないと簡単には分解されないようです。
また、処分の問題がでてきます。焼却時の熱量は通常のプラスチックより低く傷める心配はないようですが、埋め立てる(単純埋立、安定型埋立)となるとメタン発酵が心配です。一度に大量に埋め立ててメタンガスが出れば、引火の心配が出てきます。通常のプラスチックと見分けがつかなければ、焼却も安定型埋立も選べず、管理型埋立の量が増えてコストがかかるかもしれません。
実際、機械部品などのプラスチック製品は耐久性が必須なので、生分解性には置き換わらないと思いますが。
どんな物質にも特徴はありますし、それが一方では益になり、他方では害になると思います。つまるところ、全知全能でないので、トライアルエラーで取捨選択し、バランスをとっていくしかないと思います。既得権益を失う側もいれば、新たに恩恵を受ける側もいて、それぞれが声を大にして必死に議論するのが一番かなと思います。生活がかかってないと、議論も茶番になりますし、と言いつつ架空の根拠を持ってこられても。。。
すみません、正直、どれだけ正しいことが言えているか分かりません。ここに書いたことが調べる、考えるきっかけの一つになり得れば十分と思って書いています。
プラスチックは全か無かの極端でない選択が得やすい方だと思います。この合理的選択スイッチを数学的に考えるのも、プラスチックの善悪を明瞭にする手段になりうるでしょう。
経済学の数学的基礎に多大な貢献をされた宇沢弘文先生は自動車がもたらす損失を金額で計算しました。原発も同様な議論ができるでしょう。また、単なる古典的加法性で計算するのではなく、ショケ積分のような非加法性を組み込んだ計算も必要かもしれません。ただ現実として恣意性が入る余地のない算出はできないと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
有限会社アイ・エス・オー 長友